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派遣の終了・更新・解除とその他ルール |
▽派遣トラブルQ&A2
労働者派遣とは、派遣労働者、派遣元事業所、派遣先事業所という事なった立場の三者で構成されるため、それらの利害関係を考えると非常に不安定なものになっています。
問題が発生すると派遣先と派遣元、派遣労働者間の間で「言った」「聞いてない」の水掛け論はよくある話です。
そのため労働者派遣法がお互いの利益を調整して適正な運営を促しているのですが、それでも問題や疑問は生じます。そのような問題・疑問にどのように対処していくべきかここで考えて行きたいと思います。
4.派遣就業中のトラブル処理
派遣元、派遣先、派遣労働者の三面の関係は利害関係が異なるため非常に不安定な関係であり、トラブルが発生した場合一番弱い立場である派遣労働者に色々なしわ寄せが生じる可能性があります。 そのため、労働者派遣法では、派遣元と派遣先が連携して苦情処理に当たることを基本とし、両者に法律上の責任を与えています。 労働者派遣法に定められている苦情処理についての規定は次のとおりです。
<1.事前に苦情処理方法を決定する>
労働者派遣法では、派遣就業を開始する前に、苦情処理の方法を決定し、それを派遣契約に定め、派遣労働者にも就業条件として通知することを義務付けています(労働者派遣法第26条、34条)。
<2.苦情処理の責任者を決定する>
派遣元、派遣先のそれぞれについて、苦情処理の実施責任者を明確にするため、派遣元責任者および派遣先責任者の選任が義務付けられています(労働者派遣法第36条。41条)。
<3.発生した苦情の処理>
派遣先は、その指揮命令のもとに労働させる派遣労働者から、派遣就業に関して苦情の内容を派遣元に通知するとともに、派遣元との密接な連携のもとに、誠意をもって、遅滞なく、適切かつ迅速な処理を図ることとされています(労働者派遣法第40条1項)。
<4.苦情を記録する>
実際に発生した苦情について、派遣元台帳および派遣先台帳に記載する必要があります(労働者派遣法第37条、42条)。
派遣元及び派遣先は、派遣労働者から苦情の申出を受けたことを理由として、不利益な取扱いをしてはなりません(派遣元指針第2の3、派遣先指針第2の7)。 また、派遣就業に関する違法な事実がある場合には、派遣労働者は厚生労働大臣にその事実を申告することができます。
しかし、この申告したことを理由として派遣元および派遣先が、派遣労働者に対し解雇その他不利益な取扱いをすることは禁止されています(労働者派遣法第49条の3第2項)。
5・セクハラの対応
職場におけるセクシャルハラスメントを防止するため、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(以下均等法)では、事業主に対して、職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置を義務付けています。 事業主は職場において行われる性的な言動に対するその雇用する女性労働者の対応により、当該女性がその労働条件につき不利益を受けたり、就業環境が害されたりすることのないように、雇用管理上必要な配慮をしなければならないと規定しています(均等法第21条)。 事業主とは本来派遣労働者を雇用する事業主を対象としていますが、労働者派遣法では、派遣先を「雇用する事業主」とみなすこととしています(労働者派遣法第47条の2)。 このため、派遣先事業主や派遣先責任者は派遣労働者に対してもセクハラが起こらないよう、必要な措置をとらなければなりません。
【雇用管理上必要なセクハラ対策(事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上配慮すべき事項についての指針)】
- 事業主の方針の明確化およびその周知・啓発
ex:社内報やパンフレット、ポスターなどでセクハラに関する方針を記載し、配布すること等
- 相談・苦情への対応
ex:苦情対応の担当者を決めておく、苦情処理制度を設ける等
- 職場でセクシャルハラスメントが生じた場合における、事後の迅速かつ適切な対応
ex:相談・苦情の担当者が事実関係の確認を行う、人事部門が直接事実確認を行う等
このような対策が採られていない事業所でセクハラ問題が発生した場合いは、都道府県労働局雇用均等室長より報告を求められたり、指導、勧告などを受ける場合があります。
規定の整備と苦情処理体制を万全に配慮する必要があります。
いずれにしてもスタッフの身になったスピーディーな対応が必要であり、取引中止を恐れて派遣先に遠慮し、スタッフに我慢を強いるなどせず対応することが必要となります。
6・派遣契約期間途中の派遣労働者の責による解雇
派遣先は、派遣労働者への指揮命令権はありますが、自らの社員ではないため、解雇に処す権利はありません。
派遣労働者も派遣元に雇用されている労働者ですから、その解雇は労働基準法などの各種法律および判例に従う必要があります。
派遣労働者のように期間の定めがある雇用契約の場合、やむをえない事由がなければ解雇権の乱用とみなされてしまう恐れがあります。
ただし、派遣労働者の仕事に対する取組みや処理能力に問題があったり、勤務態度が良くないような場合には、派遣労働者、派遣元の債務不履行として契約解除できるかについては、派遣労働者のみの問題なのか、あるいは指揮命令者の指示が不適切では無かったのか、
職場での人間関係上の問題は無かったかなど具体的な問題の所存を明らかにして判断する必要があります。
このような場合には、派遣契約書に定めがあれば、派遣元に対し、派遣労働者へ注意や指導をしたり派遣労働者を交代させるよう求めることができます。また、悪質な行為や事件が行った場合には派遣契約を解除する定めをすることも、当事者である派遣元と派遣先の合意があれば可能です。 ただし、派遣先からの派遣契約の解除に対しては次の一定の条件が付け加えられており、当事者間で合意があっても無制限に行えるものではありません。 その条件とは、「派遣労働者の国籍、信条、性別、社会的身分、派遣労働者が労働組合の正当な行為をしたこと等を理由としての派遣契約解除はしてはならない」ということです。
トラブルを回避するためには、派遣契約の条件の中に派遣スタッフの条件を明確に記載しておくことも必要となります。
7.派遣契約期間途中の派遣先の責による途中解除
【派遣先の責による派遣契約の途中解約】
派遣労働者側に契約解除となる要因があった場合ではなく、派遣先の一方的な都合等で派遣契約が途中解約された場合は、派遣労働者は当該派遣先での就業ができなくなることが余儀なくされます。
このような途中解約は派遣先の責任として
- 相当の猶予期間を以って解除を申し入れること
- 関連会社での就業斡旋などにより新たな就業機会の確保をはかること
- 派遣契約解除予定日の少なくとも30日前に派遣元に予告、もしくは派遣労働者の30日分以上の賃金相当額の損害賠償の速やかな支払い
などが、派遣先指針で明記されています。
また、派遣元から請求があった場合には、途中解除の理由を明らかにしなければなりません。
派遣元と派遣労働者との雇用契約は継続しているため、法律上、派遣元は、派遣労働者に残余期間の休業手当(平均賃金の60%)を支払うか、解雇予告手当を支払って解雇するなどの必要があります。
【派遣先消滅】
派遣先が契約期間の途中で倒産し、必然的に派遣契約が途中解約になってしまった場合には、前記の指針に従った措置はまず不可能でしょう。
そうなった場合、派遣元としてのできうる限りの対応方法を考える必要が生じます。
まず、新しい派遣先を見つけて派遣することができれば良いのですが、それが無理な場合労働基準法では、即時解雇や休業手当の支払いを免れる「やむを得ない事由」は天災事変などに限定しているので
- 平均賃金の60%を休業手当として支払う
- 派遣元の経営状態などからして客観的、合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合は、30日後に解雇する旨を予告するか、平均賃金の30日分を支払って解雇するか
という方法を取ることになります。
ただし、派遣労働者がそれで納得せず、残存期間の賃金全額を支払うよう損害賠償を求めた時には、民法628条但し書きに従い契約期間中の残存賃金を支払う必要が出てくる可能性もあります。
派遣元と十分協議した上で適切な善後処理方策を講ずる必要があるでしょう。
また、派遣先、派遣元双方の都合で派遣契約期間中に派遣契約を解除する場合には、それぞれの責任の割合に十分考慮する必要があります。

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